測定の対象となるコンクリートにおいて弾性波の反射時間を測定することにより、コンクリートの厚さを測定します。
コンクリート内部に欠陥等が無い健全なコンクリートは、コンクリート背面までの往復反射時間が測定され、厚さを求めることができます(図-2.1左図)。
しかしながら、コンクリート内部に空洞等が存在すると、コンクリート内部を伝搬する弾性波は空洞面で反射するため、反射時間が短くなり、iTECSによる測定厚さは薄く測定されます(図-2.1中央図)。一方、コンクリート内部にジャンカ等の脆弱部が存在すると、弾性波の伝搬速度が低下するため、反射時間が長くなり、iTECSによる測定厚さは見かけ上厚く測定されます(図-2.1右図)。
これらの性質を利用して、測線上におけるiTECSによる測定厚さの変化から、コンクリート内部に存在する欠陥等の範囲・位置を推定することが可能となります。

図-2.1 各コンクリート状況での弾性波の伝搬模式図
図-2.2 シールドトンネルでのiTECSによる調査結果
写真-2.2 実際の状況
◎推定手順
1、各側線上において、順次、iTECSによる弾性波の反射時間を測定する。
2、弾性波の反射時間から測定箇所のコンクリート厚さを推定する。
3、各測点での推定コンクリート厚さをグラフ表示により面的に展開し、コンクリート内部に存在する欠陥等の範囲・位置を確認する(図-2.2)。
◎推定精度
・シールドトンネルにおいて、iTECSによる計測結果からコンクリートの内部状況を推定した結果は、図-2.2のとおりです。
・反射時間の短い部分について現場確認を行った結果、写真-2.2のように、覆工とセグメントの間に空洞が確認されました。